溝の口胃腸科・内科クリニック|川崎市の胃カメラ・大腸カメラ・内科・内視鏡内科

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生活習慣病

Lifestyle Diseases.

生活習慣病とは

生活習慣病と最近耳にするケースが増えてきておりますが、具体的には何を指すのでしょうか。代表的な病気(疾患)では、「肥満」「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」などの病気が該当しますが、その他にも多くの疾患、合併症を踏まえると非常に日本人には身近に迫る病気といえるでしょう。

なぜ生活習慣病といわれるのか?

生活習慣病は、もともと「成人病」といわれていましたが、成人以上の方でも生活習慣の改善により予防することが可能であること、また、成人未満の方でも発症する可能性があることから「生活習慣病」と1996年度に当時の厚生労働省が改称しました。

日本人がなりやすい病気に変化?

近年、日本では疾病構造(日本人がなった病気の内訳・傾向など)が変化し、生活習慣病を起因とした内容へ変化している。日本人の三大死因とされる「1位:がん(悪性新生物:腫瘍)」「2位:心疾患」「3位:老衰」においても、これらの危険因子となるのはいずれも生活習慣病の動脈効果・高血圧・糖尿病・脂質異常症など、生活習慣病といわれる疾患を主要因とされます。
(2018年前は「脳血管疾患」が3位)

代表的な疾患について

生活習慣病で代表とされる「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」についてご紹介いたします。

高血圧とは

(疾患概要・病態)

健康時より血圧が高い状態が続くことを高血圧といいます。高血圧の状態では、健康時より血管の壁に血流の圧力が掛り、その結果、血管を傷め次第に血管が硬くなり動脈硬化へとつながります。多くは自覚症状がなく無症状ですので予防が重要です。

推定患者数
日本には、約4,300人が高血圧といわれています。(病院に行かず、高血圧と見込まれる方も含む)
なりやすい人
男女ともに高血圧になりますが、40代までは男性に多く、50代以降では、男女差に大きな差はなく罹りやすくなります。
罹りやすい年代
50代以降の方は罹りやすい疾患です。

診察室血圧:(病院・クリニックで測る血圧)

血圧のイラスト

家庭内血圧:(ご自宅で日常的に測る血圧)

測定のイラスト

(原因)

高血圧の原因は特定されていませんが、遺伝的要因と食生活(塩分量の高い食事)や嗜好品(喫煙や飲酒)の過多、運動不足や精神的なストレスなどの環境的要因が重なって引き起こされると考えられています。

一般的には、食生活における「減塩」が重要です。食塩に含まれるNa(ナトリウム)が血液内に多いと、血中のナトリウム濃度を下げるために、血管内に体液が入り込んで血液量が増え、結果血圧が上がるのです。

(検査・治療)

検査・診断時は、クリニック・病院で外来時の血圧測定と、日常的に患者さんがご自身で測定する「家庭血圧」を重要視します。病院に来ると緊張してしまう患者さんや早朝に血圧が上がる患者さんもいらっしゃることから、家庭血圧を重要指標値として治療していくことが大切になります。

治療の際は、まずは生活習慣の改善が重要です。運動の他、食生活の塩分コントロールから入ります。3ヶ月を目安に経過観察し、改善が難しいようでしたら降圧薬の服用(血圧を下げる効果のある薬)へ切り替えます(薬物療法)。高血圧は初期では、服用を開始しても食生活の改善と併せて進めることで、血圧の数値に改善がみられると、お薬を止めることも十分見込めます。まずは、継続して予防することへの意識を持つことが大切です。

1日の食塩摂取量のめやす

先生と患者のイラスト

どんな状態が高血圧?:先生がみているところ

血圧計で血圧を測定すると、血圧の上と下の値が表示されます。上の値を「収縮期血圧:最大血圧」といい、下の方は「拡張期血圧:最小血圧」といいます。先生は両方の値をみて「高血圧」かどうか診断します。

成人における血圧値の分類

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より転載

糖尿病とは

正常なインスリンの働き

(疾患概要・病態)

糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。自己免疫機能に起因する「1型糖尿病」と、生活習慣に起因する「2型糖尿病」に分類されます。
※日本人で多くみられるのは2型糖尿病です。

2型糖尿病の発症のしくみ

自覚症状としては、のどが渇く、尿が多い、傷が治りにくい、感染症に罹りやすい、疲れやすい、集中できないなどの症状がみられます。

推定患者数
(2型糖尿病)
日本には、約2,000人が糖尿病といわれています。 (糖尿病予備軍の方も含む統計)
なりやすい人
男性に多く、特に50歳以上なると有病率が高くなる。
罹りやすい年代
50代以降の方は罹りやすい疾患です。

(原因)

健康時は、食事で得た糖質は小腸でブドウ糖とし吸収され、エネルギー源として血液に乗って全身の細胞に運ばれます。糖尿病では、このブドウ糖を細胞に取り込む役割を果たす「インスリン」というホルモンの量が不足している、または、働きが低下することが原因で起きます(生活習慣病で多い2型糖尿病の場合)。
当院院長は肝臓でのインスリン作用に関する研究論文を海外誌に報告しています。Metabolic control analysis of hepatic glycogen synthesis in vivo – PubMed (nih.gov)

一方、インスリンを作る「膵臓」という臓器のβ細胞が破壊されることが原因で起こるのが1型糖尿病になります。糖尿病は、この原因に応じて治療をしていくことが大切になります。

(検査・治療)

糖尿病は、「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」や「血糖値」といった、複数の検査数値を組み合わせ診断します。特に血糖値は食事の前後で変化しやすく、1日のうちでも変動している。そのため、特に下記2つは重要視される指標となる。

特に重要視される指標

●HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)

過去1ヶ月〜2ヵ月の平均血糖値がわかる指標。血液中の赤血球にあるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。血糖コントロールの良否を知ることができます。

●空腹時血糖値

血糖値は1日のうちで変化しますが、食事の前後の影響も少なく、比較的変化が少ないタイミングで測定する数値が空腹時血糖値です。健康診断などでは、朝食をぬいて測定した数値を空腹時血糖値として用いるケースがございます。

そのほかの検査指標とは (このような指標を用いて判定・診断します。)

糖尿病型の判定

糖尿病型と判定された場合、別の検査日で糖尿病と再確認できた際に糖尿病と診断されます。※ただし、HbA1c値のみで反復検査(同じ指標で繰り返す)では診断できず、同じ日にHbA1c値と血糖値を同時に測定し、両数値とも糖尿病型であれば、初回検査時にも糖尿病と診断されます。

糖尿病の治療目標は「血糖コントロール」になります

糖尿病の治療目標は「血糖コントロール」になります

糖尿病の治療目標は「血糖コントロール」になります

運動療法

運動は肥満の解消に役立つだけでなく、ブドウ糖の消費を高め、インスリンの働きをよくします。一方、1kg痩せるためには、約7,200kcalのエネルギー消費が必要となり、これは、【(縄跳び:1回10分換算で750回以上、水泳5分、ウォーキング20〜25分)】に該当し、運動だけで解消するのは難しく、基本は食生活の改善が大切になります。

薬物療法

1型糖尿病患者さん

1型糖尿病の場合、インスリン分泌の不足が原因のため、注射によって外部よりインスリンを補う「インスリン療法」が必要になります。いかなる場合も中断してはいけません。

2型糖尿病患者さん1型糖尿病患者さん

食事療法と運動療法を基本とし、十分な効果が得られない場合は、「血糖降下薬」やインスリン療法を行います。軽い糖尿病なら、食事療法だけで血糖をうまくコントロールできます。

糖尿病:薬物療法の流れ

血圧のイラスト

インスリン注射が必要な方とは

測定のイラスト

妊娠を希望される女性・妊婦さんへ

糖尿病の方でも、健康な人と同様に「妊娠・出産」はできます。糖尿病自体は正しく管理されていれば、妊娠したからといって悪化することはありません。一方、腎臓障害や網膜症などの血管障害による合併症は、妊娠によって悪くなることがあります。気になり方、すでに合併症が進んでいる方はご相談ください。

測定のイラスト

脂質異常症とは

(疾患概要・病態)

血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が多いことで引き起こされる疾患です)。 食事で必要以上に摂取した脂質は(注意:健康な食生活と比較して)、動脈の内側の壁にくっついて血管を硬く狭くしていきます。この状態では、血液もドロドロとした状態にあり、進行して引き起こされるのが、「動脈硬化」です(動脈硬化は、高血圧による血管への負担も要因となります)。

多くは無症状で、家族性高コレステロール血症では、皮膚や腱に黄色腫がみられます。 コレステロールには、善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)があり、善玉コレステロールは細胞内や血管内の余分な脂質を肝臓に戻す働きがある為、悪玉コレステロールを減らすことに役立っています。

動脈硬化で引き起こされる危険とは

(疾患概要・病態)

血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が多いことで引き起こされる疾患です)。食事で必要以上に摂取した脂質は(注意:健康な食生活と比較して)、動脈の内側の壁にくっついて血管を硬く狭くしていきます。この状態では、血液もドロドロとした状態にあり、進行して引き起こされるのが、「動脈硬化」です(動脈硬化は、高血圧による血管への負担も要因となります)。

多くは無症状で、家族性高コレステロール血症では、皮膚や腱に黄色腫がみられます。 コレステロールには、善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)があり、善玉コレステロールは細胞内や血管内の余分な脂質を肝臓に戻す働きがある為、悪玉コレステロールを減らすことに役立っています。

動脈硬化が進むと、上記のように血管が狭くなり、血流が悪く血液が淀むと凝固因子が集合し、「血栓」と言われる「血のかたまり」ができます。この血栓は、血管を通って脳の血管や心臓の近くの血管をつまらせることで命に関わる合併症の原因となります。

(原因)

高脂血症の主な原因は食生活(カロリー過多)や嗜好(喫煙・飲酒)過多、運動不足、遺伝などが考えられます。

推定患者数
(2型糖尿病)
日本には、約2,000人が脂質異常症(高脂血症)といわれています。※潜在的患者を含む
なりやすい人
男女ともに脂質異常症(になりますが、40代までは男性に多く、50代以降では、男女差に大きな差はなく罹りやすくなります。
罹りやすい年代
50代以降の方は罹りやすい疾患です。

(検査・治療)

脂質異常症の検査は「血液検査」 で行います。検査数値でみるのは、大きく「中性脂肪:TG(トリグリセリド)」、「悪玉コレステロール:LDLコレステロール」、「善玉コレステロール:HDLコレステロール」の3つです。治療においては、生活習慣の改善(食事・運動・嗜好品など)を前提とし、①食事療法、②運動療法、③薬物療法があります。①、②で十分な効果が見込めない方へは、内服薬(飲み薬)を中心とした薬物療法を行います。主に「中性脂肪を下げる薬」、「コレステロール値を下げる薬」、「両方を下げる薬」を処方します。

血液検査(脂質異常症の検査指標)

中性脂肪:TG(トリグリセリド)

指標
善玉コレステロール値150㎎/dl以上。
状態
善玉コレステロールが減り、悪玉コレステロールが増えやすい状態にある。

悪玉コレステロール:LDLコレステロール」

指標
悪玉コレステロール値(LDL値)140㎎/dl以上。
状態
悪玉コレステロールが増えやすい状態にある。

善玉コレステロール:HDLコレステロール

指標
悪玉コレステロール(HDL値)40㎎/dl未満。
状態
冠動脈疾患など、虚血性心疾患の危険因子となります。(心臓近くの血管の血流が悪くなるなど)

脂質異常症診断基準(空腹時採血)*

LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症**
HDLコレステロール 40 mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150 mg/dL以上 高トリグリセライド血症
Non- HDLコレステロール 170 mg/dL以上 高non- HDLコレステロール血症
150~169 mg/dL 境界域高non- HDLコレステロール血症**

動脈硬化性疾患予防ガイドライン

冠動脈疾患予防からみた LDLコレステロール管理目標設定のためのフローチャート
(危険因子を用いた簡易版)

リスク区分別脂質管理目標値

治療方針の原則 管理区分 脂質管理目標値(mg/dL)
LDL-C Non-HDL-C TG HDL-C
一次予防
まず生活習慣の改善を行った後、薬物療法の適用を考慮する
低リスク <160 <190 <150 ≧40
中リスク <140 <170
高リスク <120 <150
二次予防
生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する
冠動脈疾患の既往 <100(<70)* <130(<100)*