ウイルス性肝炎
疾患概要
肝炎ウイルスに感染することで肝細胞が炎症する病気をウイルス性肝炎といいます。一般的にはB型肝炎・C型肝炎が知られていますが、A〜Eまでの肝炎ウイルスが存在し、その感染経路や病態、進行も異なります。
※日本人ではウイルス性肝炎のうちC型肝炎が多く、慢性肝炎の約70%がC型肝炎です。
原因
肝炎ウイルスへの感染が原因となりますが、ウイルスの種類(型)によって感染経路も異なります。
肝臓内科

肝臓内科では、肝機能の異常に伴って出る症状・原因の疾患に対する診療を行います。当院では、日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医による専門的な診療がおこなえます。生活習慣の乱れで肝機能が気になる方も、遠慮なくご相談ください。下記に主だった肝臓に障害がある際にみられる症状をお示ししますので、気になる方はご覧になってください。
からだの右側の肋骨の下あたりに「肝臓」があります。

肝臓は、大きく(貯蔵機能)(解毒機能)
(合成機能)の3つの役割を担います。

貯蔵機能
食事で得られたタンパク質・炭水化物・脂質は分解され、エネルギー源となるグリコーゲンとして肝臓で貯蔵され、動脈を通してからだの必要な箇所へ必要な成分に加工され運んでいきます。※当院院長は肝臓でのグリコーゲン合成に関する研究論文を海外誌に報告しています。
Metabolic control analysis of hepatic glycogen synthesis in vivo – PubMed (nih.gov)
解毒機能
体内に入った有害物質、薬の成分、アルコール、体内の老廃物などを分解し排出、無害なものへ作り変え排泄の手伝いを担います。
合成機能
食べ物を消化するのに重要な「胆汁」を合成・分泌します。胆汁は黄色い液体でからだの老廃物を流す役割を果たします。
肝臓の病気は、(「飲酒・ウイルス感染」など)何らかの成因により、肝細胞が壊れ炎症をきたす肝炎の進行状況によって、肝炎・肝硬変・肝がんの3つに大きく分類されます。
※肝臓自体は、痛みを感じることのない臓器ですが、がん(腫瘍)が大きくなると、肝臓をおおう肝被膜という部分が引っ張られ痛みを感じることがあります。
肝臓に関する専門的な診断・治療には、一般的なお腹・腸を扱う消化器内科の先生でも難しい場合があります。肝臓を専門に扱い診療を行う医師は学会より肝臓専門医として認定され診療に従事しております(※現在は一般社団法人日本専門医機構が専門医資格を認定)。肝臓専門医は、日本の医師約30万人とすると、6,941人(2019年9月時点)と、全体の医師の2%程度になります。中には肝臓専門医でないと処方できない薬剤もあり、専門性の高い領域ともいえます。
当院では、肝臓専門医・指導医の専門である院長により、肝臓をはじめ消化器内科・糖尿病・内分泌代謝科領域と密接に関係のある肥満等、生活習慣病を専門領域として診療を行っております。
肝臓は自覚症状を感じにくい臓器のため、その機能や状態を把握するためには、血液検査や腹部エコー検査など詳しく検査を行う必要があります。
肝臓は、健康な時と比べ、その機能が著しく低下するまでは自覚症状が現れず「沈黙の臓器」といわれています。肝臓には痛みを感じる神経がないため、「肝臓が障害を受けても自覚症状を感じる時には、病気が進行している」。そんなケースも少なくありません。アルコール・食生活・運動不足など、生活習慣と密接な関係にあり、生活習慣病を患っている患者さんは、その改善が肝機能障害の予防にも繋がります。
肝臓が何らかの病気などに起因して障害を負うと、炎症が起きて肝細胞(肝臓の細胞)が壊れ、アミノ酸を作るAST(GOT)などの酵素が血液中に漏れ、生体機能の異常に繋がります。肝臓が炎症を起こし、肝細胞が破壊された状態を肝炎といいます。この状態を直すために再生しようと体の機能が働きますが、破壊と再生を繰り返すと肝細胞が線維化し硬くなります。肝炎には、短期的に起こる「急性肝炎」と、長引いて治りにくい「慢性肝炎」があります。※慢性肝炎は6ヶ月以上続いた状態を指します。

主な要因には、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」 「アルコール性肝障害」「ウイルス性肝炎」「薬物性肝障害」「自己免疫性肝炎」「原発性胆汁性胆管炎」などの疾患が挙がります。
中性脂肪が肝臓に多く蓄積し、肝細胞の5~30%以上に中性脂肪がたまった状態を脂肪肝といいます。肝臓は小腸で吸収されたブドウ糖を中性脂肪として貯蔵し、エネルギーとして消費する役割を担います。これが肥満・アルコール摂取などを要因として脂肪酸の燃焼が悪くなると中性脂肪がたまり、肝機能が低下し肝炎を引き起こします。

脂肪肝は以前は「アルコール性」「非アルコール性」に分類されてきましたが、最近では従来の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と概ねoverlapする代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)という呼称・疾患概念に変更されています。
アルコール性脂肪肝
お酒を飲む量が多い人がなりやすい脂肪肝です。飲み過ぎで肝臓に中性脂肪がたまり、アルコール性脂肪肝になることがあります。これはアルコールが分解される際に中性脂肪が合成されやすくなるためです。
非アルコール性脂肪肝
お酒を要因としない脂肪肝です。お酒をほとんど飲まない方でも、生活習慣病をはじめ肥満・糖尿病などを罹患している方は、非アルコール性脂肪肝になる場合があります。肥満や糖尿病の方ではインスリンの働きが鈍り、肝脂肪の燃焼が悪くなり中性脂肪がたまりやすくなります。
脂肪肝の検査では、血液検査、腹部エコー検査(腹部超音波検査)、CT検査を組み合わせて行います。治療においては生活習慣の改善・脂質異常症に効果のある薬剤の服用を中心に改善を図ります。


肝炎ウイルスに感染することで肝細胞が炎症する病気をウイルス性肝炎といいます。一般的にはB型肝炎・C型肝炎が知られていますが、A〜Eまでの肝炎ウイルスが存在し、その感染経路や病態、進行も異なります。
※日本人ではウイルス性肝炎のうちC型肝炎が多く、慢性肝炎の約70%がC型肝炎です。
肝炎ウイルスへの感染が原因となりますが、ウイルスの種類(型)によって感染経路も異なります。
検査は、問診・診察、血液検査や画像検査、FibroScanで診断し、必要に応じて連携病院にて肝生検をおこなうこともあります。主な治療法としては、肝炎ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス治療として、C型肝炎には直接作用型抗ウイルス薬(Direct Acting Antiviral:DAA)、B型肝炎には核酸アナログ製剤など、内服による薬物治療が中心となります。
肝臓が線維化して肝臓が硬くなっていく状態を肝硬変といいます。肝硬変が進行すると肝臓がゴツゴツ硬くなり小さくなっていき、肝臓の機能が果たせない状態になります。
症状としては、黄疸(肌や目の白目が黄色くなる)、腹水(お腹に水が溜まった状態)、浮腫(血液成分が血管の外に染み出る)、からだのだるさ(倦怠感)などがあります。

肝臓の肝細胞が炎症による破壊と再生を繰り返すことで、肝臓が線維化して硬くなっていくことが原因となります。
検査は問診・診察、血液検査や画像検査、FibroScanで診断し、治療はガイドラインに従い、病態に応じた治療をおこないます。

肝がんは大きく2種に分かれ、肝臓の細胞ががん化して発生する「原発性肝がん」と、他の臓器で発生したがんが肝臓へ転移して発生する「転移性肝がん」があります。原発性肝がんは、肝細胞がん・肝内胆管がんにさらに分けられ、約90%以上の原発性肝がんは「肝細胞がん」が占めています。
自覚症状は小さいうちはほとんどなく、画像診断で発見されることが多いですが、がんが大きくなると肝硬変と同様に黄疸や腹水がみられることがあります。

肝がんは、ほとんどが慢性化した肝炎・肝硬変を原因として発生します。かつてはC型・B型肝炎ウイルス由来が多くみられましたが、治療薬の普及により減少傾向にあります。近年は、生活習慣病を背景とした肝疾患由来の肝硬変・肝がんが増加しています。

肝臓がんの検査では、腹部エコー(超音波)検査、CT・MRIによる画像診断、腫瘍マーカーなどを組み合わせて行います。また、主な治療法としては以下のような方法があります。
肝切除(外科療法)
肝がんとなっている部分を含む肝臓を局所的に切除する手術です。
ラジオ波焼灼療法
(RFA)
ラジオ波電流でがん化した肝臓の部分を焼灼(熱で焼く)手術です。一般的に肝臓がんが小さい、数が少ないケースに行います。
肝動脈化学塞栓療法
(TACE)
肝臓の血管に直接抗がん剤を流し込んで、がんに栄養を運んでいる血管を塞いでがんが大きくならないようにする治療法です。
抗がん剤・分子標的薬による
全身化学療法
抗がん剤や分子標的治療薬といった薬剤でがん細胞の分裂を抑え、破壊する治療法です。

上記以外にも、様々な検査法・治療法がございますが、肝がんは早期発見・再発を防止する治療計画が大切です。

また、肝硬変・肝がんなど肝疾患においては、肝機能をよい状態に保つことが極めて重要であることが分かっていますので、そうした点に注意した診療をおこないます。

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